ブレイク〜２
貯水池で気を失ったまま横になっている大門は体の痛みに気を取り戻す。
薄目を開けて周りを見る大門。
大門「―――――う…」
大門の背中越し、座って彼の様子を見ている科学者。
大門、はっとなり体を起こすが激痛が襲い、思わず傷口を抑えてうずくまる。
大門「はっ！――ぐうっっ！」
腕の痛みに苦しむ大門。
それを冷静に見ながら立ち上がる科学者。
科学者「―――気が付いたか」
大門「貴方が助けてくれたのか？」
無言でうなずく科学者。
大門「しかし、どうやって…俺は――――」
その大門の質問を手を上げて遮る科学者。
科学者はゆっくりと手を下げて話し始める。
科学者「――君の名は大門優一。組織の改造人間」
大門「どうしてそれを !? 」
科学者「―――『組織』に改造され、最強の戦士となるはずだったが、
適性検査で異常が発見され、廃棄処分となり脱走した…」
大門「―――貴方はいったい…」
平山「私は『平山大輔』―――君を改造した『組織』の科学者だ」
驚く大門。
大門「何だって !? 」
一転して、組織の基地内。
巨大な水槽のに浮かぶ醜悪な化け物。
その前に跪く１６号。
巨大な水槽の中に浮かぶ首領。響く鼓動音。
背中越し、跪いている１６号。
首領「１５号に逃げられたそうだな…」
１６号「はっ…申し訳ありません、何者かの邪魔が入りまして…」
首領「組織内に、裏切り者がいるのだ…」
驚く１６号。
１６号「な、何ですと !? 」
暗闇の中に浮かぶ平山博士の顔。
１６号「この男は ? 」
首領「我が組織の科学者、平山博士だ…今度の一件、こいつが裏で糸を引いている」
１６号「では、さっそく奴等を探し出して…」
首領「まぁまて、16号…すでに追手は放ってある…」
貯水池の近く。
空から舞い降り、辺りを伺うショウリョウバッタ男、１４号。
アンテナが伸び、目が発光する。
博士と大門を見つけ出すと目が点滅し、組織に通信を送る１４号
再度基地内の首領
首領「追手の１４号から通信が届いた、裏切り者の居所がわかったぞ…
―――――１６号 ! 」
１６号「ははっ ! 」
首領「最期のチャンスを与える、裏切り者『平山』と脱走者１５号を抹殺せよ」
ひざまづく１６号の背中越し、首領の姿。
首領「所詮１５号は不完全な不良品だ。完成体のお前の力を思い知らせてやるが良い」
１６号「ははっ！」
首領「ふっふっふっふっ…」
貯水地の二人。
平山の背中越し、話を聞いている大門。
平山「君は組織にさらわれ改造されたが、不適合となり廃棄処分となった…
そして廃棄処分となる寸前、脱出に成功した…」
黙って話を聞く大門。
平山「だが君が不適合になったのも、脱走に成功したのも、偶然ではない…
全て私が仕組んだ事だ」
大門「…」
平山「私は君を改造するとき、君の体にある装置を埋め込んだ…
そのため君は組織の検査で不適正と判断されのだ」
大門「じゃあ、上手く脱走できたのも？」
平山「私がやった。全ては君に覚醒してもらう為だ」
大門「覚醒？」
平山「そうだ！」
平山「だが君はまだ覚醒していない…
だから１６号に負けてしまった君を私が助け、ここまで連れてきたのだ」
大門「でも、あの１６号相手にどうやって？」
平山、左手を大門に突き出す。
その掌に埋め込まれているチップ。
平山「このチップは我々の思念波を増幅し、怪人の動きを止める事が出来る」
掌を下ろす平山。
平山「無論、君は例外だ」
大門「それであの時、１６号が」
平山「そうだ―――大門君、時間が無い！一刻も早く覚醒してくれ！
組織に対抗できるのは、君一人なんだ！」
困惑する大門。
大門「でも、どうやって…―――――はっ！」
何者かの気配を察知して振り返る大門。
問う平山。
平山「どうした？」
大門「間違い無い、この感じは…ヤツだ！」
草を踏みしめる１６号の足
木陰から覗く１６号。
１６号「ふっふっふっ…見つけたぞ、１５号！」
再度貯水池。
その場を去ろうとする大門。それを止める平山。
平山「何処に行くつもりだ？」
大門「俺がここに居るのは危険だ、ヤツは俺を狙っている」
平山「待て、君はまだ覚醒していない。勝ち目は無いぞ」
だが大門は平山の手を振りほどいて走り去っていく。
平山「待て、行ってはいかんっ！」
造成地に走りこんでくる大門。
その真ん中に立ち止まり、大声で叫ぶ。
大門「出て来い１６号、俺はここだぁっ！」
突然背後から襲い掛かる１６号。
吹き飛ばされる大門。起き上がる大門の前に立つ１６号。
１６号「ふっふっふっふっ…」
大門の背中越し、不敵に笑う１６号。
１６号「ふっふっふっ…もう逃がさんぞ、１５号」
大門「くっ！」
１６号「決着を付けてやる…覚悟しろ！」
２人の闘い。一方的にやられる大門。
蹴り飛ばされ、立ち上がる大門に近づく１６号。
１６号「往生際の悪いやつめ…貴様に未来などないわ！」
大門「黙れ、俺は生き延びてみせる！」
向かい合う２人。大門を指差す１６号。
１６号「良かろう、引導を渡してやる！」
再び防戦一方の大門。
立ち上がれない所へ笑いながら近づく１６号。
怪我をした腕を踏みつけられ苦しむ大門。
大門「ぐああああっ」
１６号「ふっふっふっ…苦しめ、もっと苦しめ１５号！はっはっはっはっ」
だが一瞬の隙を突き、逃れた大門は手袋を外すと拳を握る。
「―――エボリューション！」
発光する拳のクリスタル。
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